
近年、CBD(カンナビジオール)が注目されるようになり、その作用を説明する際によく使われる言葉が「ECS(エンドカンナビノイドシステム)」です。
ECSとは、私たちの体の中に備わっている生体調節システムのことで、体のバランス(恒常性)を維持するために重要な役割を果たしています。
ECSが発見された当初は、
* CB1受容体
* CB2受容体
という二つの受容体が中心と考えられていました。

そのため、
「CBDはCB1やCB2に作用する成分」
という理解が広がりました。
しかし研究が進むにつれ、少し不思議なことが分かってきました。
CBDは実はCB1やCB2への作用がそれほど強くないにもかかわらず、
* 睡眠
* ストレス
* 痛み
* 炎症
* 神経保護
など、さまざまな働きとの関連が報告されていたのです。
そこで研究者たちは、
「CB1やCB2だけでは説明できないのではないか」
と考えるようになりました。

その後の研究により、
* TRPV1
* TRPA1
* PPARγ
* セロトニン系
* 免疫系
* 脂質メディエーター
など、多くの経路が関与していることが明らかになってきました。
つまり現在では、ECSは単なるCB1・CB2受容体のシステムではなく、生体全体の恒常性を支える大きなネットワークとして捉えられるようになっています。
私はこの流れを見ていて、ジョセフ博士が提唱する「エンド・フィト・システム(Endo-Phyto System)」という考え方が非常にしっくりくるようになりました。
Endo(エンド)は「体内で作られるもの」。
Phyto(フィト)は「植物由来のもの」。
つまり、私たちの体内で作られる調節物質と、植物が持つさまざまな成分が協力しながら、生体のバランスを維持しているという考え方です。

この視点で見ると、CBDだけが特別な存在ではありません。
例えば、
* ホップ由来成分
* テルペン類
* オメガ3脂肪酸
* 緑茶のカテキン
* カカオのポリフェノール
* 春ウコンの精油成分
なども、生体の恒常性維持ネットワークに関わる可能性があります。
最近、春ウコンについて調べる機会がありました。
春ウコンにはクルクミンだけでなく、多くの精油成分(テルペン類)が含まれています。
従来であれば、
「胃に良い」
「肝臓に良い」
といった説明が中心でした。
しかし現在の視点では、
「春ウコンに含まれる植物成分が、生体調節ネットワークにどのように関わるのか」
という見方もできるようになります。
私はこれからの予防医学において重要なのは、
「この成分が何に効くのか」
ではなく、
「この成分が体の恒常性維持にどのように関わるのか」
という視点だと考えています。

ECS研究は、もはやカンナビノイドだけの研究ではありません。
むしろ、私たちの体と植物との関係を理解するための新しい入り口になりつつあるのではないでしょうか。
CBDから始まった学びが、ホップやウコン、オメガ3など、さまざまな植物や栄養素へとつながっていく。
私はその流れの先に、「エンド・フィト・システム」という考え方の大きな可能性を感じています。
